(撮影:宮崎貢司)
舌鋒鋭い語り口でお馴染みの毒蝮三太夫さん。現在、57年続くラジオ番組を持ちながら、大学で介護福祉の教鞭もとっている。下町気質の両親の知恵から、老後を楽しく生きるためのヒントまでを語ってくれた。(構成:篠藤ゆり 撮影:宮崎貢司)

大学生に伝えている温故知新

どうやら俺、90歳らしいね(笑)。世間が「90歳なのにお元気ですね」と言うから、「そうか、俺は90か」と自覚させられる。自分では60代や70代の頃とな~んにも変わってないんだけどね。今もラジオ番組を続けていて、今年58年目だってよ!

ただ、どうしても体は衰えるし、いずれは終焉に向かう。生きているというのは、言ってみりゃあ、浮遊してるみたいなもんでしょう。

若い頃は上昇気流で昇って、そこから水平飛行。今は着陸点を見ながら飛行中で、墜落は避けたい。最後まで事故や重い病気、スキャンダルとは無縁のまま軟着陸したいもんだ。

俺の世代は子どもの頃、戦争を経験している。9歳の時、東京で城南の山の手大空襲に遭った。焼夷弾が雨あられと落とされた日、おふくろに手を引かれて逃げながら、灼熱の炎のなかでおびただしい数の死傷者を見た。

兄貴2人は戦争に行って、2番目の兄は特攻隊の生き残り。みんな住むところや食うものがなくたって、歯をくいしばってしのいでいた。それから戦後の混乱期があり、高度成長、バブル崩壊……振り返ると激動だね。