ドラマや映画によく登場する「警視庁公安部外事課」。「聞いたことはあるけど、具体的なイメージが湧かない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。日曜劇場『VIVANT』の監修を務めた元警視庁公安部外事課の勝丸円覚さんは「公安警察の活動は、人々に称賛されることも評価されることもほとんどない。それでも彼らは、来る日も来る日も地べたを這うような地道な任務を続けている」と語ります。そこで今回は勝丸さんの著書『警視庁公安部外事課 スパイ・テロを水面下で阻止する組織の実態』より一部を抜粋し、知られざるインテリジェンス(諜報)の世界をお届けします。
変装
公安に変装はつきものだ。
たとえば、あるマンションを監視する場合、そのマンション内を移動しやすい(いても不自然に見えない)格好の「電気屋さん」や「水道屋さん」、「宅配業者」などに変装する。
あなたも、駅前や歩道などで胸にゼッケンを付けて「ゴミ拾いをしている人」を見かけたことがあるかもしれない。実はあれ、変装した公安捜査員だったりもするのだ。
公安の各課には主要な制服がほとんど揃っている。たとえば10人ほどの大人数で「電気屋さん」に変装する場合は、公安部の他の課から「電気屋の制服、貸して」と借りたりする。服のサイズが合わない場合は、わざわざ特注することもある。
私の場合、「サンドイッチマン」「看板持ち」「釣り人」に変装したことがある。釣り人に化けた時は、駅前に釣り堀があるJRの駅近くで、外交官の身分を持ったロシアのスパイが誰かと接触するという情報を受けていた。当然のことだが、任務が決まってから変装する職業が決まるため、準備はしにくい。だからすばやく行なう。