101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

<100歳の100の知恵 11>

『ひとりおやつは心から「おいしい」と思わなくては損』

ひとりで庭の草花や鳥を見ながら楽しむティータイムは、小さな幸せをもたらしてくれる、大切な時間。一回のおやつも、お茶うけも、「おいしい」と思って口にしなければ損だと思います。

春なら桜餅。私は桜の葉の風味が好きなので、葉ごといただきますが、長命寺(東京都墨田区向島)の「桜もち」のように葉を二枚以上たっぷり使っているものは一枚はがして、「お楽しみ」のために残しておきます。

残った葉は水洗いし、塩水につけて冷蔵庫に保存。そして自分用の小さな塩むすびを作り、桜の葉で包んでいただくことにしています。

このおむすびをつまみながら熱いほうじ茶を飲み、庭にシジュウカラが餌を食べにくるのを見ているのは至福のひとときです。

うっかりお菓子を用意し忘れたときは、その場にあるものでお茶うけを作ります。

秋ならさしずめ、ゆずと干し柿のお茶うけ。ゆずは皮をむき、実は種をとってからよくたたき、砂糖を加えて練っておきます。皮は内側の白いところをとり、うす切りにし、これも砂糖をまぶしてもんでおきます。干し柿をせん切りにし、ゆずの皮と実、干し柿をよく混ぜ合わせればできあがり。
吉沢久子さんの連載「100歳の100の知恵」一覧