『桜えびのゼリー寄せ』(撮影:竹内章雄)
現在発売中の『婦人公論』(4月号)の料理連載「お料理歳時記」では、「桜色の食卓」を特集! 桜前線とともに気持ちが華やぐ季節は、食事も春の彩りにしてみませんか。おいしく、美しく。薄紅に染めるほんの少しの工夫を江崎美惠子さんが紹介します(撮影=竹内章雄 スタイリング・構成=北村美香)

桜えびや鮭を取り入れれば彩りの味方に

春の訪れを告げる桜。その花の優しい色合いに、心が和みます。きっと誰もが好きな花ではないでしょうか。

桜模様の器を見かけるたび、私は自然と目が釘付けになります。ここでご紹介している揃いの酒器や陶箱のほか、桜が描かれたフルセットの器まで揃えているにもかかわらず、です。(笑)

こうした器にふさわしいのは、やはり桜色の料理でしょう。食材には桜えびや鮭、デザートならべリー類を使うのがおすすめ。今回はロゼワインを入れてごはんを炊いたことで、すし飯もきれいな薄紅色に染まりました。前菜2品、メイン1品、おすしにデザート、というメニュー構成にしていますので、ぜひおもてなしにも活用してください。

以前は、私も張り切っておもてなしをしていましたが、最近は夫婦ふたりで食事を楽しむことがほとんど。前菜数品、メイン1品、おすしをごはんに替えるときもあります。その際は、蛤など春の素材を使ったお吸い物を添えて。

ふたりだけの食事でも、私はとっておきの器を使うことにしています。特に「桜色の食卓」は、ほんの短い期間しか楽しめません。そう思うと、テーブルを囲む時間がいっそう愛おしくなりますね。

陶箱は有田・伝作窯のもの。酒器は京都・清水焼。どちらも一目惚れして買い求めた。江崎さんは、年始から啓翁桜をたっぷり活けて桜を楽しむという。開花の時期になれば、「近くの芦屋川や夙川、時間があるなら京都まで足を延ばします」