メリット3 誤嚥性肺炎のリスクを減らす

テレビなどで最近よく、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」という言葉を見聞きしますね。漢字が難しいこともあり、いまひとつピンとこないかたも多いと思います。

「誤嚥」というのは、食べ物や飲み物や唾液が、食道でなく気道の方に誤って入ってしまうこと。そして一緒に細菌を肺に取りこんでしまい起きる感染症が「誤嚥性肺炎」です。80歳以上のかたの死因の上位を占めています。

お正月には、もちをのどに詰まらせて窒息死した高齢者のニュースが流れます。

これも、もちがのどにひっかかって気道を塞いだために起きます。

誤嚥の引き金の多くは、「老化現象」です。

・歯が抜けたり入れ歯になったりして、噛む機能が落ちてきた。
・のどの筋力が衰えて、「空気は気道から肺へ」「飲食物は食道から胃へ」と仕分けする「のどのフタ」、喉頭蓋(こうとうがい)の働きが鈍くなった。
・唾液の分泌が減ってきた。
・のどぼとけの位置が下がり、食べ物が気道に入りやすくなっている。

食べたものが変なところに入ってムセることや、「食べこぼし」が多くなったら、誤嚥しやすくなっています。風呂カラオケで唾液を増やし、のどの筋肉を鍛えてください。

メリット4 表情筋がよく動いて、声も顔も老けない。幸福度が上がる

高齢になっても「お若いですね」とほめられる人は、表情豊かでよく笑い、口角がキュッと上がっています。シワやたるみが目立たず、お肌がつややかです。

逆に、年齢より老けて見える人は「能面のような無表情」でいるのをよくお見かけします。肌もくすんでいて、たいてい眉間に縦ジワが寄っています。

顔から老けこまないように、風呂カラオケで、表情筋をよく動かしてください。

表情筋とはその名のとおり、表情を動かしている筋肉です。

口を大きくあけて歌えば表情筋がまんべんなく動き、顔がいきいきして引きしまり、血色もよくなります。

「人は幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」という名言があります。

どうせ歌うなら、表情筋の体操も兼ねるつもりで、大げさに百面相をして筋肉をほぐし、ついでによく笑うようにしましょう。

そうすることで人との会話もはずむようになり、毎日が楽しくなりますよ。

 

※本稿は、『毎日10分-長生き風呂カラオケ』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


毎日10分-長生き風呂カラオケ』(著:渡邊雄介/中央公論新社)

「入浴中にウトウトしてしまう」
「最近、つまずきやすい」
「食事中によくムセる」
――ひとつでも思い当たったら、風呂カラオケの始めどきです。

入浴中の事故防止、誤嚥予防に毎日10分、世にも簡単でお得な健康法

声とのどの専門医がおすすめします。

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