96歳まで生きた父
小堀 僕の父親は96歳まで生きたけど、元気でしたね。母親は父親より4カ月ほど早く亡くなって、「どこ行った?」って、母親が死んだのがわからない時もありました。
僕は隣に住んでいたので、夜、見に行くんですよ。父親の寝室に小さな窓があってそこから覗いて無事を確認する。
ある朝、ポータブルのお手洗いのところで倒れていました。友人の病院で調べたら、脳梗塞で脳が半分ぐらいやられていましたが、放っておこうということになり、人工呼吸器はつけないで、そのまま点滴だけしてもらって、3日後に亡くなりました。安らかでしたよ。
※本稿は、『死を受け入れること ―生と死をめぐる対話―』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
『死を受け入れること ―生と死をめぐる対話―』(著:養老孟司・小堀鴎一郎/祥伝社)
よく生き、よく死ぬために。
3000の死体を観察してきた解剖学者と、400人以上を看取ってきた訪問診療医。
死と向き合ってきた二人が、いま、遺したい「死」の講義。