同時に、デビュー時のネタとなった、あらゆる動物と闘っても倒せる「動物の倒し方」を練習。そのうち芸人さんが、大事なお客さんの席で、「こいつ、面白いんですよ。百獣の王を目指してるとか言って、どんな動物でも倒せるんですよ」と、僕に話を振ってくれるようになりました。そろそろ準備ができたのではないかと思った頃、39歳で本格的に芸能活動を開始しました。

芸能界ならではの「ビジネス」を自分なりに俯瞰で眺め、そこに必要なピースを組み合わせて、番組で必要としてもらえるレベルの能力を身につけての挑戦。でもおかげさまで、はじめて出演した番組で話題になり、多くの仕事をいただくことができました。強運の持ち主に見えたかもしれませんが、実はかなり長い準備期間があったんです。(笑)

僕が目指しているのは、特定の分野に秀でたスペシャリストではなく、さまざまな分野を網羅できるスーパージェネラリスト。つまり「何でも屋」ですから、そのためには今も毎日勉強を重ねています。でも、まだまだです。いまだに子どもの頃の自分がふっと目の前に出てきて、不安になることがありますから。

肉体的なクオリティは大学時代に日本一になった頃より下がっていますが、収入は格段に上がりました。そう考えると、今の僕が得ている収入は、「いただきもの」でしかない。僕の番組を楽しんで観てくださる人の数だけ増えているということで。

もし僕がちょっとでも今の立場を勘違いしたり、自分の能力を磨くことを怠って、何度も同じ「自分」で番組に出たりしたら、もう需要はなくなって一瞬でその収入は断たれてしまいます。今の収入は、自分の「能力」だけでは手に入らない、ありがたいものなんです。

人に比べて、子どもの頃にお金で不自由はしましたが、皆さんの応援でやっと「おまえ、自由にやっていいよ」というチケットをいただけた。そのチケットを手に入れるための一番の方法は、「学習」であり、自分の能力を「開発すること」です。

これからは多くの人に「あんな人生、楽しそうだな」「ああいう発想ができたら、自分も成功できるかもしれない」という見本になれるような活動をしていきたいと思います。