表現者にとっての「メンタルの強さ」

表現者にとって、「メンタルの強さ」とは、一体何を指すのだろう。様々な表で活動をする方のお話を聞くと、批判や誹謗中傷との向き合い方について、達観している人も多い。「わざわざ何を書かれているかを見に行かない」「エゴサして悪口を書かれていても、ありがとうって思う。わざわざ時間を割いて感想を書いてくれて嬉しいと思う」と言う人がいた。日々膨大な批評に晒される仕事だからこそ、それぐらい割り切らなければ身が持たないのだと思う。

イメージ(写真提供◎Photo AC)

アーティストとメンタルの問題について、ちゃんみなが実力は十分なのに自信がない候補者に、次のように指摘するシーンがあった。

「こんなこと言いたくないけど、アーティストっていう職業って心の健康には悪い職業ではあるんです。毎回毎回何百人何千人何万人の前に立ってパフォーマンスして評価されて、知らない人に名前をあげられて話題にあげられて、そんなの普通の精神状態じゃいられなくなるんですよ。でも、それも仕事だし、緊張に勝つのも我々の仕事。緊張をコントロールするのも。そこをどういう風に向き合うかっていうのを、それは自分と自分で話し合うしかなくて、どんなに偉い人すごい人と話し合ってもどうにかなるものじゃなくて、自分のこと信じてあげることしか道はない」

『死ねない理由』表紙(著:ヒオカ/中央公論新社)
『死ねない理由』(著:ヒオカ/中央公論新社)

実際、デビューしたアイドルグループのメンバーが、メンタルの問題で活動休止する例は後を絶たない。ちゃんみなが指摘するように、自分自身のメンタルをどうケアするのか、それを考えていくのも、表に立つ人の仕事であり、大きな課題なのだと思う。