幼い頃から親にも周囲にも気をつかう習慣
いずれにせよ、こうした不安定な関係性のなかで、母親に見捨てられないために、つまり生き残るために、より一層親の顔色を読み、注意を引こうとします。
次第にそれは、他の人との関係にも応用されます。幼い頃から親にも周囲にも気をつかうことが習慣化するのです。
愛着形成がうまくいかないと、自己がうまく確立できません。自己が不安定で空虚だと、つねに不安なまま周囲に気をつかい続けなければなりません。
相手に気をつかい、つい「なにかしてあげなければ、ここにいてはいけないのではないか」と思うようになるのです。
それによって感謝されても、あまり嬉しいとは感じられません。ほめられているのは自分の内面(自己)ではなく、自分の外側(自分の行為)だと感じてしまいます。
まるでメイクした女性が「美しいね。いいコスメ使っているんだね」とほめられるようなものです。
人にほめられるほど、それと引き換えに「もっとがんばらなくては」という気持ちが強くなり、心が満たされないまま、ひたすらがんばり続けることになります。
※本稿は、『大人の愛着障害:「安心感」と「自己肯定感」を育む方法』(大和出版)の一部を再編集したものです。
『大人の愛着障害:「安心感」と「自己肯定感」を育む方法』(著:村上伸治/大和出版)
【大人になっても愛着の形成はできる】
自分のことが嫌い、基本的な安心感に乏しい…。
それは子どもの時に育まれる愛着がうまく形成されなかったから。
普通の人は、そこそこの自己肯定感と他者信頼感を持っているものの、強いストレス状況や逆境では潰れてしまいます。
一方、強固な愛着形成ができていれば潰れることはありません。
十分ではなかった愛着を自ら築き、何があってもグラつかない自分になる法。