「歳だから」と断らない

ラッキーなことに、僕には40代や50代の若い友人がたくさんいる。そんな彼らが、年齢的に僕には無理だと思うようなことを平気で求めてくることがある。僕が人並みに老化しているということがピンときていないのだろう。

そんなとき僕は、「歳だから」と断ったりせず、自分を奮い立たせて可能な限り求めに応じてみることにしている。それが僕自身にとっても楽しいし、支えになってもいるのだ。

堺正章
堺正章さん(撮影:小川カズ/写真提供:飛鳥新社)

たとえば、伊香保温泉で開催されるクラシックカーレースに誘われたときのことだ。僕を誘った若い友人は、メカニックや若いドライバーと一緒に前日中に車で現地へ向かうつもりでいた。

ところが、僕が仕事の都合で前泊できないと知ると、当日の朝5時に出発すると言ってきた。「その時間でいいっすよねー」と当人は至って気軽に言うのだが、体力の乏しくなっている僕にとってそんな早起きはつらい。それでも頑張って言われた通りの時間に出発したものの、車中で2時間眠らないともたなかった。