花が朝に開いて夕方に閉じる

葉っぱの就眠運動以外に、もう一つ、「植物は夜に眠る」といえる現象があります。それは、昼に開いていた花が、夜に閉じてしまう現象です。

ムラサキカタバミの個々の花は、3日間連続して、「朝に開き夕方に閉じる」という開閉運動をします。そのあと、4日目には萎れます。花が朝に開いて夕方に閉じるという開閉運動は、この植物だけではありません。

タンポポやチューリップの花なども、朝に開き、夕方になると閉じるという開閉運動をします。翌朝には、また元気に開いてきます。まるで、夜中によく眠り、英気を養ったかのようです。

「植物は、夜に眠るのか」という疑問への答えとして、葉っぱの就眠運動とともに、このような現象も、「植物も眠ります」と答えるのにふさわしい現象です。

※本稿は、『雑草散策-四季折々、植物の個性と生きぬく力』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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