ただし、プランニングも忘れずに。私のケースを言えば、結婚する前に私は何があっても現役選手としての生活はパリオリンピックで終えること。つまり、それまでは結婚しても絶対に現役選手を続ける、しかも日本代表でプレーする、ということを伝えていた。加えて、自分は30歳までに子どもが欲しいと思っていること。結婚は家と家の話とはいえ、お互いの家族とは必要以上に干渉することなく、それぞれの生活を独立させていくこと。一緒に暮らす家族として、伝えたいこと、わかってほしいことはすべて先に伝えた。

お互いの価値観が似ていたので、ぶつかることや、分かり合えないことがなかったのも幸せだったが、もしもそこでズレがあったら、結婚する前にちゃんと解決したほうがいい。どれだけ話し合っても妥協できない時は、きっと、結婚する相手ではないということだ。

結婚はひとりではできないし、結婚相手の家族も自分の家族になる。

でもだからこそ、自分の心に正直に。

自分の人生計画を大切にしたいし、結婚してもしなくても、私は私らしくありたいといつも思っている。周りには結婚している人もいれば、結婚していない人もいる。子どもがいる人もいれば、子どもがいない人もいる。

それぞれみんないろんな理由があるかもしれないし、それぞれの人生だ。その人が幸せだと思うなら、周りがとやかく言う権利はない。

もうこの年齢になったから結婚しなきゃとか、周りがみんな結婚しているからと焦って結婚することなどない。なぜなら、自分の人生で、結婚するのは自分自身だから。

何事も決断するのは自分自身。私はたまたまこの人、と思う相手に出会うことができて、バレーボール選手としてオリンピックを目指す過程で結婚した。そしてその決断を全く後悔していない。

この人に巡り合えてよかった、と心から思っているし、付き合い始める前にあまりに冷たかった自分を、少し、反省している。

夫よ。ありがとう。
 

※本稿は、『後悔しない選択』(古賀紗理那:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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後悔しない選択(古賀紗理那:著/KADOKAWA)

2024年8月に現役を引退した元バレーボール日本代表キャプテン、古賀紗理那の初エッセイ。
16歳にして、日本代表デビューを果たして以来、日本女子バレーボールを代表する選手、日本のエースとして活躍した古賀紗理那が初めて語る「後悔しないための選択」とは? 初めて明かすプライベートな一面も。