吉永 闘病中のベッドでお休み中に、「ばんざーい、ばんざーい」「それじゃ、みんな集まっておにぎり食べるよ」とうわ言でおっしゃったという話を聞いて、淳子さんらしい、と。
田部井 夢の中でも山を歩いていたんでしょうね。亡くなる数日前、病室で二人きりになった時、思わず僕が「母さん、大好きだよ」と言ったら、母が「お母さんも大好き。山よりも好き」と返してくれました。これが母との最後の会話です。
がんは憎いけれど、命の期限が迫っていたから、濃密な時間を過ごすことができたのだと思います。
吉永 淳子さんは、山や家族に対するご自身の思いを、精いっぱい表現して一生を終えられた。本当にカッコいいし、私も淳子さんみたいに、自分でこうしようと決めたことを一つずつ成し遂げて、めげずにしっかり前を向いて生きていきたいと思いました。
そして、できればまた、山に行きたい。いい空気を吸いながら、自分の思いを膨らませるのは素晴らしいことだから。
田部井 ありがとうございます。山や自然の楽しさ、素晴らしさを、母のように僕も伝えていくことができればと思っています。山に行かれる際には、いつでも呼んでください。吉永さんの荷物、僕が運びますよ!
吉永 頼もしい息子がいて、〈第二の母〉は幸せです。(笑)

