「上熱下寒」と五臓の「肝」の働き

更年期症状は、「上熱下寒(じょうねつげかん)」の状態が完成してしまうことで起こります。上熱下寒とは、つまるところ「冷えのぼせ」の状態です。

五臓全体のバランスから説明すると、「腎」に影響しやすい 「肝」の働きの一つに、疏泄作用といって気血を体内で昇らせる働きがあります。

植物にたとえるなら、土から芽が出てグングンと上へと成長していく力を想像するとよいでしょう。

特に比較的体力のある人の場合、ストレスなどを抱えることでこの疏泄作用が暴走し、熱を生み出しながら気血を必要以上にドンドン上へと昇らせてしまうことがあります。

そして頭部へ気血が昇り過ぎると「頭に血が昇る」という言葉どおり、イライラしやすくなったり、頭痛や吐き気、薄毛、不眠といった不調が起こりやすくなってしまいます。

このように、「腎」の働きが低下して冷えが下半身に停滞する一方で、「肝」の暴走によって熱が上へ昇り過ぎる状態を上熱下寒と言います。

更年期に起こりやすい状態で、多くの不調を招く大きな原因となるのです。