「腎」の働き

ほかにも「腎」には蔵精作用といって、精を貯蔵する働きがあります。

精とは人体の構成や生命活動を維持する力であり、女性ホルモンや男性ホルモン、成長ホルモンといったあらゆるホルモン作用に当てはまる言葉です。

ですから、精ができるだけ満たされている状態を作ることが、更年期不調の改善や老化スピードをゆるやかにすることにも関連してくるというわけです。

「腎」の働きは、植物にたとえることができます。

「腎」は植物の「根」の部分に当たり、栄養や水分を土から吸い上げる役割を担っています。植物の「根」である「腎」が下半身の気・血・水のめぐりを司り、重力に逆らいながらそれらを体幹へと戻す働きをしています。

よって、「腎」の働きが低下すると下半身のめぐりが滞り、冷えが発生してしまうのです。すると、子宮や腸の働きにまで悪影響が及び、ホルモンバランスが乱れ、結果として更年期症状に繋がってしまいます。

私がこれまで多くの方々の施術をしてきた経験から言えることですが、10代の頃から身体を冷やし続けてきた人ほど、更年期症状が強く出る傾向にあることは間違いありません。

ですが、若い頃は冷えよりファッションを優先したいという気持ちも十分にわかります。ですので、今、気づいたときからでかまいません。

冷えを防ぐための意識・対策をしっかりと身に付けていき、「腎」の生命エネルギーをこれ以上落とさないよう心がけていきましょう。