関係性の「広がり」と「質」

SNSのようなデジタル空間では、より多くの人と接触できますが、相互フォロー関係は100~200人程度で安定しているという研究があります(Goncalves et al., 2011)(cはセディーユ付き)。これ以上の規模になると、情報処理が難しくなっていくというわけです。

私たちは多数の他者と「N次のつながり」でつながっているものの、直接的な社会関係を持つには限界があると言えるのでしょう。

『日本人の幸せ-ウェルビーイングの国際比較』(著:内田由紀子/中央公論新社)

私たちは日本人を対象に、関係性の「広がり」と「質」のどちらが幸福にとって重要であるのかを検討しました。結果としてはまずは所属するグループや人間関係の居心地の良さという「質」が幸福をもたらしていました。

しかし実は個人差もあり、開放的な社会関係をどんどんつくりたいタイプの人にとっては、知り合いが多いという「広がり」が幸福をもたらしているのだとわかりました(内田ら、2012)。