「野面積み」と呼ばれる竹富島のグック
竹富島には星野リゾートが運営する「星のや竹富島」があり、あたかも竹富島にもう一つ集落ができたかのような48棟の伝統建築のフーヤと、グックの風景が広がっているのだが、そこのグックは160〜170センチあるらしく、島の方によると、その高さは、昔の竹富島の風景に近いのだという。
「星のや竹富島」は宿泊しないと敷地に立ち入れないので(他のホテルにあるようにレストランやショップだけ利用、というのはできない)、そして宿泊は、大変お高いので、昔の竹富島の風景に近いと言われても、誰でもがおいそれと見物できるわけではないのだが、そのように作られた「星のや竹富島」は一見に値するのであろうと思う。
竹富島のグックは「野面(のづら)積み」と呼ばれる、石積みとしては最も古い積み方で積まれていく。
これは、石を切ったり、石と石の間に何かくっつけるものを使ったりすることなく、自然の石の形を把握しながら、きれいな石垣の形に積んでいくものである。
琉球珊瑚礁の隆起した島だから、竹富島の石は、おのずと文化庁データベースにあるように「珊瑚礁のグック」となる。
現在の竹富島は観光の島であり、先の世代の時代には島中に広がっていたという畑はもう見ることができない。
耕作できるところは耕作してきた竹富では、畑や屋敷の土地に使用するために開墾した時に出てきた石をグックとして積んだのが始まりではないかと言われている。
※本稿は『竹富島に移住して見つけた人生で大切なこと』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
『竹富島に移住して見つけた人生で大切なこと』(著:三砂ちづる/幻冬舎)
65歳、島に家を建てて、暮らしはじめました
著者は勤めていた大学を定年前に退職し竹富島に移住、赤瓦で平屋造りという伝統家屋の家を建て、65歳にして初めての一人暮らしを始めます。
人口330人、娯楽施設はもちろん、買い物ができる店もない「不便」な島。ですが、年間25もの祭事・行事がある島での暮らしは、つねに神様とともにあり、島の人たちとの深い人間関係にも守られています。
伝統家屋の家に暮らすということ、祭り、食、人々との交わり……。島で暮らすことの喜びとともに目覚め、喜びのうちに眠りに就く、移住最初の1年を綴りました。




