大学教授を定年前に退職した作家の三砂ちづるさん。竹富島に移住し、65歳にして初めての一人暮らしに挑んでいます。人口330人、娯楽施設はもちろん、買い物ができる店もない「不便」な島。ですが、年間25もの祭事・行事がある島での暮らしは、つねに神様とともにあり、島の人たちとの深い人間関係にも守られています。島での移住最初の1年を綴った著書『竹富島に移住して見つけた人生で大切なこと』より、一部を抜粋して紹介します。
台風
台風さえなければ、本当にいいところなんだけどね、という言い方を何度も島の人から聞いている。
八重山竹富島に家を建てて4月に引っ越したのだが、とにかく建てている最中でも、建ててからでも、台風に強いとか、台風の時これはこうして、とか、台風への対処について、ことあるごとに言及されてきた。
木造建築では、これが絶対台風に強いんですよ、そうしましょうね、と、施工をお願いした沖縄本島南部の神谷工務店の神谷社長はおっしゃる。
2×4(ツーバイフォー)工法である。これはいわゆる枠組壁工法、のことである。一般の木造建築は、柱や梁はりなど軸になる「線」で家を支えているのと比べ、2×4は面で支えている。
具体的に言うと、フレームのように組まれた木材に合板を打ちつけたパネル様のものを壁や天井、床などに使い、従来の「線」で支える木造住宅とは異なり、「面」で支える住宅なのである。
風や揺れなど外からの力も、「面」で受けることになるから、地震、台風などに対してより強力であり、気密性、断熱性も高い、ということである。