運動が発がんを予防する三つの仕組み
運動が発がんを予防する仕組みは三つあります。
一つ目は筋肉から出てくるマイオカイン(※)による直接の作用です。マイオカインが、がんの芽を摘み、大きくなるのを防ぎます。
二つ目は代謝能力や抗酸化能力を高めることです。筋肉の代謝能力が高まると、血液中のインスリンや脂肪の濃度を低下させ、体脂肪も減少させます。インスリンや脂肪は、がん細胞を増殖させるスイッチを押すので、これらの濃度を高めないことが予防につながります。
また体脂肪から分泌するアディポカインは慢性炎症を引き起こし、やはりがん細胞を増殖させます。内臓脂肪が蓄積し、血液中のインスリンや脂肪酸の濃度が高まることは、まさにメタボリック症候群の状態です。このメタボを防ぐことが、実はがん予防にもつながってくるのです。
また攻撃性の高い酸素、活性酸素が体内でたくさんできると、遺伝子を傷つけて発がんにつながることがわかっています。例えば、喫煙、過度の飲酒、バランスの悪い食生活、肥満、紫外線の照射、老化などによって、体の各所から多くの活性酸素が作られます。
しかし運動習慣は、この活性酸素を消去する能力=抗酸化能力を高め、遺伝子が変異するのを防いでくれます。この抗酸化能力の向上は、筋肉だけでなく内臓や脳、血液など全身で起こります。また、マイオカインの中には抗酸化能力を持つものもあります。
三つ目は免疫力を高めることです。免疫を担うリンパ球は、血液中を循環しながら、がん細胞を見つけると異物として認識し、死滅させようとします。運動を行うと、免疫細胞であるTリンパ球やナチュラルキラー細胞の働きが高まり、これらが発がんを予防するのです。
※筋肉が分泌する物質。脳や内臓、血管、骨に作用して様々な働きをする。
