(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
内閣府が公開した「令和7年版高齢社会白書」によると、令和6年10月1日時点での65歳以上人口は3624万人で、総人口に占める割合は29.3%だったそうです。高齢者医療の現場に長年携わる精神科医・和田秀樹先生は「仕事や子育ても一段落したいまこそ、他人の目など気にせず、好きに行動すべき」と語ります。そこで今回は、そんな和田先生の著書『これだけでいい!老けない!ボケない!和田式「アウトプット健康法」』より一部を抜粋してお届けします。

やりたいことだけをやり、人生の“主体性”を取り戻す

年齢を重ねると、多くの人が「もう歳だから」「いまさら始めても遅い」と、自分にブレーキをかけるようになります。

しかし、私は精神科医として長年、高齢者を診てきてはっきり言えることがあります。それは、我慢を重ねる人ほど老け込み、やりたいことをやっている人ほど若々しいというのが“現実”だということです。

私は20年以上、森田正馬先生(1874〜1938)が創始した精神療法である「森田療法」を学んできました。

森田療法では、「不安を消す」ことを目指しません。不安はあって当たり前。その不安を抱えたまま、「では、どう生きるか」を考える治療法です。つまり、不安の原因探しよりも、“今日の生き方”に焦点を当てるということ。

年齢を重ねると、不安は増えます。健康のこと、お金のこと、家族のこと。けれど、いくら頭のなかで心配しても、未来は何も見えてきません。

人混みに出かけたらカゼがうつるかも。若者向けの服を着たら笑われるかも。そんな「かも」に縛られて何もしないことこそ、心と脳を老けさせます。

その点、森田療法が重視するのは行動です。頭のなかでぐるぐる考えているだけでは、人生は一歩も前に進みません。やってみて、初めて合う合わない、できるできないということがわかるのです。

この考え方は、心理学者のアルフレッド・アドラーの「課題の分離」とも通じています。自分がどう行動するかは自分の課題ですが、それを相手がどう思うかは相手の課題です。相手の気持ちは変えられません。しかし、自分の行動は変えられます。