「白鳥さん、そんなに嬉しそうですか?」
「ええ。はい。ものすごく。どこがどうって言われへんけど、いつも淡々としてる人やから、ちょっと雰囲気が変わるとすぐわかるんです」
「そうですか。変わったんですか。よかった」
瀬良が気さくなせいだろうか。思わず本音が漏れてしまった。
「よかった?」
すかさず瀬良が突っ込んでくる。すこし迷ったが、この夫婦になら本当のことを言っても大丈夫なような気がした。
「ええ。白鳥さんは初めて会ったとき寂しそうでした。その寂しさがすこしでも減ったなら、よかったな、と」
瀬良は返事をせずにまじまじとこちらを見ている。いくらなんでも失礼だったか、と恥ずかしくなった。
「すみません。勝手なことを言って……」
「いえいえ。あたし、メチャクチャ嬉しいです。一目で霧さんの寂しさに気付いてくれて。なんか今、感動しました。ありがとうございました。剣人も喜びます」
瀬良の眼はキラキラと輝いていた。私ははっとした。この子は嬉しいときに涙ぐむのではなく眼を輝かせるのだ。なんて素敵な資質だろうか。
「霧さんはいろいろあった人なんです。あたしも剣人も霧さんには恩があって……」
「瀬良」
そのとき、霧が店からやってきた。瀬良は慌てて口をつぐんだ。
