2つのALDH2

ところが日本人では、このALDH2に変異があり機能しない人が多い。遺伝子は染色体2対に1つずつ、計2つ存在するのだが、2つのALDH2が共に変異を持っている人は欧米では少ないが、日本人では3人に1人もいる(10人に1人という報告もある)。

片方だけ正常の人も、両方正常の人に比べると強くはないが、あまり問題なくアルコールが飲める。両方の遺伝子とも変異がある人は、とてもアルコールに弱い体質である。

今回紹介したデータは欧米人のデータであり、アルコールが弱い人では、アセトアルデヒドの体内での滞留時間が長いために、問題はより大きくなる。

10年以上前になるが、ALDH2が2つとも変異がある人がアルコールを飲むと、食道癌の発症率が13倍に上昇することを、私の中学・高校・大学の後輩が論文で報告している。この結果は、アルコールが少しは食道からも吸収されていることを示唆すると同時に、ALDH2に変異がある人は飲酒を控える方が無難であることを示している。

※本稿は、『東大名誉教授が教える 死なない生き方 科学でひもとくアンチエイジングと健康寿命』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

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