軽い注意の言葉が強い否定として受けとられる

Bさんは中学3年生。1年前に、拒食から低体重になりました。学校には通えなくなり、家で毎日過ごしています。

夏休み前に進路希望調査がありました。Bさんは小さい頃から絵を描くことが好きで、美術部のある高校に行きたいと思っていました。今は学校には通えないけど、好きな絵が描けるなら高校には通える気がする。私が外に出られるようになれば、両親もきっと喜ぶはず。

『わが子が摂食障害になったら読む本』(著:大橋とも 監修:松本功/ビジネス社)

ところが、そんな気持ちを両親に伝えると、意外な返事が返ってきました。両親は、美術部のある高校は遠方のため、今のBさんの体力ではまた通えなくなってしまう、というのです。

「通信制の高校に行きなさい。絵なんて家で描けばいいじゃない」

両親は両親でBさんの体調面を心配してのことだったのですが、自分なりの人生設計が崩されてしまったBさんは納得できません。進学先を勝手に決められてしまったことも納得がいかないし、絵を描きたい、という大事な気持ちをないがしろにされたようで、腹立たしい思いもありました。

二学期に入ると周囲は進路を決めて準備を始めているのに、白紙状態のBさんは焦りを募らせていきます。それなのに、以前と変わらない両親の様子に、わだかまりは膨らんでいきました。

ある日、Bさんは自分の想いをわかってもらうために、今まで描いてきた絵を両親に見せました。すると、父親は厳しい表情でこう言ったのです。

「いつまでそんなことしてるんだ。学校に行かないなら、バイトでもしたらどうなんだ。社会はそんなに甘くないんだぞ」

Bさんはショックを受けると同時に、感じたことのない空腹感が襲ってきました。