箪笥に眠る「宝の山」を、次なる人生のパートナーに
私の店では、「着物の無料お手入れ相談会」を定期的に開催しています。そのときには、母や祖母の着物、あるいは嫁入り支度で母から作ってもらったけど箪笥に眠ったままだった、という着物が集まってきます。
着物についたシミやカビの中には、もう落とせないものもあります。しかし、落とせなくても着物を蘇らせる方法はいろいろあるのです。
洋服は体の線に合わせて裁断する曲線裁ちで、仕立てる過程で曲線から外れる部分は活かしようがないので、通常は捨ててしまいます。
対して着物は直線裁ちで大小の四角形に生地を裁断していきます。余る部分は縫い込んでおけばよいので、本来生地を捨てません。だから、糸を解いてつなげば、また一反の反物に戻すことができるのです。
反物に戻すことができるので、新しい反物と同じように、全体の色を染め直すことができます。また、汚れている部分を目立たない箇所に配置換えして、仕立て直すこともできます。
あるいは単純に、汚れている部分の上に柄を描いて汚れを消すこともできます。
箪笥の奥で何十年も眠っている着物。それらは決して古い布ではありません。「宝の山」なのです。
子育ても一段落、人生にも慣れてきた50代頃からを「大人世代」と呼ばせていただくなら、人生は百年時代ですから、まだ折り返し地点です。
洋服が似合わなくなったと感じたとき、それは決して老いのサインではありません。新しい美しさへの入り口です。着物は人生の後半戦を彩る最高のパートナーなのです。
身近に埋もれている「宝の山」、大人世代でないと身に着けられない「ドレスコード」を手にしてみてください。きっと今まで気づかなかった、ご自身の新しい魅力に出会えるはずです。

