漢字を使い続けた朝鮮とベトナムだが…
ベトナムでは漢字のことを「字儒(チュニョ)」と呼んでいたが、そこから固有の言語に漢字をあてることが行われた。これを「字喃(チュノム)」といい、14世紀頃からベトナム語の記録に用いられるようになった。漢字で書かれる漢語との区別をあきらかにするために、独自の合成文字も作られている。
長らく漢字を使い続けた朝鮮とベトナムだが、現在は周知の通り、ともに漢字を使うことはない。韓国および北朝鮮ではハングルが使われ、ベトナムではアルファベットに基づく「クォック・グー(国語)」が使われるようになっている。
朝鮮では、李朝時代の1443年に「諺文」が制定され、1446年に『訓民正音』として公布される。諺文はのちに「ハングル」と呼称されることになるが、これは第4代国王の世宗の命により学者たちが考案した、いわば人工の表音文字である。この動きは漢字からの脱却、ひいては漢字文化圏からの脱却を狙ったものであり、民族主義が台頭してきたことの表れである(日本でも仮名の発達とともに国風文化が花開いたが、それとよく似ている)。
ベトナムでは、16世紀にヨーロッパからキリスト教の宣教師がやってきて、ベトナム語をアルファベットで記録するようになる。日本でも戦国時代に宣教師たちがやってきて、やはり日本語をアルファベットで記録したが、それと同じことをやったのである。