母親雀は呉服店『さえずり屋』の反物が詰まった箱から「おかあさーん!」と鳴く声を聞いた。商人の男が反物を広げると、生地の隙間から一番上の坊やがころりと転がり出た。ああよかった。でも坊やはまだまだ飛べない。どうしよう、と困っていると、商人の男が笑いながら竹ひごで小さな籠を編んでくれた。これに入れて運ぶといいよ。そのとき、店の外から聞き覚えのある羽音が聞こえた。父親雀の羽音だ。母親雀は籠に坊やを入れ、人間に礼を言って飛び立った。
物語が記されたページの最後に、次の目的地の案内があった。
「次の会場は六階ですね。どこかに特別なポスターが貼られているみたいです」
イベントスペースを出ると、心なしか周囲の照明が眩しく感じられた。吉晴はまばたきをし、謎解きブックに目を落とした。
「次は『デパートメントストア宣言』の頃かな。たぶん『勧工場』はやらないだろうね」
吉晴の呟きに、三島は目を丸くした。
「でぱーとめんと……かんこうば? なんでしたっけ、それ」
「あれ、聞いたことない? 消費行動の近代化に関する講義でやらなかった?」
「や、やったかもしれません。すみません!」
