すっかり日が落ちた屋上庭園は暖色のライトで通路が照らされ、淡い光に花の影が浮かぶエレガントな空間になっていた。

 まさか暗い庭園でなにかを探させることはないだろう。明かりがついたエレベーターホールの周囲を見て回ると、屋上庭園の概要や年間のイベントスケジュールが掲示された案内板の前で、イベント参加者らしき人物が立ち止まっているのに気づいた。

 案内板の屋上庭園の歴史を示す箇所には、謎解きイベントのカウンターに描かれていたのと同じ雀のイラストがプリントされた小さなシールが貼られていた。二十年前まで、この屋上庭園は小さな動物園だったらしい。うさぎやアヒルなどの小動物を中心とした触れ合いコーナーがあり、小学生未満の子供はポニーに乗ることができた。閉園の日、ポニーは飼育員に導かれて屋上から一階まで百貨店の階段をゆっくりと下り、別れを惜しむ客に見守られながら建物を去ったという。

 謎解きブックには簡略化された百貨店のフロアマップが描かれていた。ひらがながびっしりと印刷された付属の透明シートをフロアマップに重ね、屋上の動物園にいるリボンつきの馬のイラストから階段を使って一階まで降り、正面玄関へ到達するルートを指でなぞると、意味深な言葉が浮かび上がった。

「おくじょうのすのした」

 三島はゆっくりと読み上げ、首を傾げた。

「巣? 屋上に? 鳩の巣でもあるんでしょうか」

「どうだろうね。ただ、イベントの目印として使うぐらいだから、人工物じゃない?」

「あ、こっちになにかあります」