伊東勤監督の教え

そして何より、当時監督だった伊東勤さんには、本当にいろいろなことを教えていただきました。外野守備走塁コーチの河田雄祐さんに守備を特訓していただき、一軍に帰ってきたあとも「守備ができないと最後まで試合に出られないぞ」ということを何度も言われました。

最後まで試合に出られないということは、4打席を通しての勝負ができなくなるということ。つまり、打撃という持ち味がフルに発揮できなくなる。「自分の強みが発揮できるように考えなさい」ということをいつもおっしゃっていました。

『獅子貫徹 ライオンズ一筋25年、理想の打撃を追い求めて』(著:栗山巧/KADOKAWA)

細かい部分についても、いろいろと教えてくださいました。

伊東さんご自身が捕手だったこともあると思いますが「相手バッテリーが嫌がることを意識しなさい」と言って、具体的な方法も示されました。

「あえて特定の変化球を分かりやすく狙うことで、チームとしての意図を感じさせる」

「打席の中でも投手寄りに立ったり、捕手寄りに立ったりすることで、少しずつ投手の感覚を狂わせる」

そういった駆け引きをすることで、他の打者への配球が難しくなったり、制球を乱したりする布石を打つ。それができる選手は、調子の波にかかわらず起用される。使われ続ける道が開けば、自ずと打撃の持ち味を発揮しやすくなる。

現役生活を通して、僕はいろいろな監督のもとでプレーすることになりました。

誰のもとでも、ある程度チャンスをいただくことができたのは、若いうちに伊東監督の教えを受けられたことがとても大きかったと思います。