知らない人と旅行に行く

能町 考えてみると私、遊んだこともほとんどない人と旅行したこと、何回もありますね。  

ヒャダ え、すごいですね。  

能町 逆にそれがいいのかも。グリーンランドに行ったとき、1、2回しか会ってない友達と行きました。1週間か、10日くらいかな。全行程で一緒でした。  

ヒャダ なんで行くことになったんですか?  

能町 共通の友達がいて、一緒に飲んだんですよ。そこで私が「グリーンランドに行ってみたい」という話をしたら、その子が「私、アイスランド行ってみたいんだよね」と言い出して。それで「じゃあ一緒に行く?」という話になったんですよ。2回目に会ったときに計画立てて、たぶん3回目か4回目で旅行ですね。楽しかったですよ。最終日にケンカしましたけど。  

久保 その関係性でケンカするのは、逆にすごいよ。  

能町 ケンカというか、私がムカつきすぎて、何時間か無視したんですよ。でも最終的には仲直りして帰りました。あと、去年ミャンマーに行ったときは、前からミャンマーのイベントを一緒にやってる人と、会ったこともない全く知らない人と3人で行きました。  

ヒャダ 全く知らない人……?  

能町 まずミャンマー音楽をやってる村上(巨樹)くんがすごい特殊な人なんですけど、本業は岩手で古本屋さんをやってて、趣味でミャンマー音楽を研究してるんです。で、ミャンマー音楽についてのトークイベントを、全国いろんなところでやってるんですよ。その彼に「久しぶりにミャンマー行きませんか?」と誘われて、行くことにしたんです。村上くんはミャンマーに慣れてるから、一緒に行くと安心だし。  

ヒャダ そういう人がいるといいですよね。  

能町 政情不安だから一人旅はけっこう厳しいんですよ。で、村上くんが全国でミャンマーのイベントをしてるときに、「もしミャンマーに行きたい人がいたら、ぜひ声をかけてください。手配しますから」みたいなことを言ってたんです。それで手を挙げた人が一人だけいて。島根の男性なんですけど、その人とはタイの空港で初めて会いました。  

ヒャダ いいですねー(笑)。  

能町 スワンナプーム空港でトランジット待ちのときに、「あれ、もしかして……」「初めまして」みたいな感じで会って。ミャンマーに着いてから、村上くんが用事で抜けたときに、二人だけで行動したことも何回かありました。部屋は別だけど、同じ宿だから朝ごはんを一緒に食べたりして。旅行だとそういうのがやりやすいなと思いました。  

久保 行動を一緒にしなきゃいけない理由が明確にあるから。  

能町 別に仲がいいわけでもない人と旅行に行くの、けっこう私はいいかもしれないです。意外とやれちゃう。  

「自分の身を安全にしよう」という思考回路、ありますか?

  久保 死ぬかもしれないスレスレのところを、人は楽しみすぎてると思うんですよ。この間のネパール洪水の動画を見てると、撮った人はみんな生き残ってはいるんだけど、映ってる人たち含めてみんな最低限の範囲しか逃げないんですよ。「これ以上は水が来ないだろう」という範囲を見極めながら、ギリギリその状況に留まっている。たぶん「ヤバくなったらすぐ逃げればいいや」と思ってるんだと思う。ネパールのやつ以外でも、すごい高波が来て次々に人が波にさらわれてるのに、それでも海岸線に座り込んでる人たちがいる動画も見たことがあって。なんで「自分だけは大丈夫」と思えるのか不思議でならない。  

ヒャダ いわゆる正常性バイアスなんでしょうね。

久保 だから辻ちゃん(辻希美)の意見は正しかった(*)。中学生の息子が「(友達と)海に行ってもいいか」と辻ちゃんに聞くんだけど、「海はヤダ」とNGを出す動画があって。息子が「奥まで行かないから」と食い下がっても、辻ちゃんは「調子に乗ってさ、絶対さ(危ないことをする)」と言ってOKしないの。それについて「辻ちゃんは過保護」という意見もあったんだけど、母親たちは「辻ちゃんが正しいに決まってる」みたいな意見が圧倒的で。
*辻希美、“子どもだけで海に行かせない”方針が再注目「正しい」母親としての判断に賛同の声(Smart FLASH)

ヒャダ (スマホで記事を調べて)辻ちゃんいわく、「うちまだ海と川はいいよって言ってないです」「男の子って本当さ、ノリとか勢いとかなんかさそういう感じがあるじゃん」と。

久保 実際、鹿児島で中高生が流される事故も起きてるわけで、「やっぱりそうじゃん」っていう。「自分の身を安全にしよう」という思考回路、男の子は特にない気がする。  

──男の子同士だと、チキンレースをしたがるところは確かにあると思います。  

久保 辻ちゃんはあれだけ男の子を育ててるから(息子は3人)、そこがわかってるわけだよね。海の話以外でも、富士登山で亡くなった人の統計を取ったら、ほとんど全員男性だったという話があって(*)。男性は無理しちゃうんだと思う。女性は「体力があまりない」とある程度わかった上で、「これ以上無理はしない」と考える傾向があるのかも。
*富士山の死者27人、なぜ男性ばかり? 救急救命医「確かに不思議」(朝日新聞)によると、2023年以降に富士山で死亡した27人は全員が男性とのこと。

──自分の限界を認める・認めないみたいなことなんですかね。

久保 そういうのを見ていると、いろいろ思っちゃうね……生き残ろうね、みんな。

ヒャダ ですね。
  
久保 だから旅行でケンカしたっていいんですよ。生き残りさえすれば。「楽しい旅にするかどうか」より「生き残れるかどうか」だ。ひゃっくんが今回行った旅行だって、生き残って帰ってきたからこそ、愚痴が言える。命を持って帰れたからこそ言えるわけですよ。「つまんなかった」って。  

ヒャダ 確かに。  

久保 「つまんなかった」と言える旅を目指そう、長野でも。  

能町 なんかいいまとめになってる(笑)。  

──夏休み前に、校長先生の訓示を聞いた気分(笑)。

久保 「えー、みなさん。この夏休みは『つまんなかった』という思い出を持って帰ってきてください。校長先生からの話はこれで終わります」 

2026年8月30日のこじらせライブより、観客の歓声を浴びながら1分30秒にわたる「マイケル立ち」を披露する久保
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久保ミツロウ×能町みね子×ヒャダイン「自分が相手に孤独を感じさせる可能性もある」「しゃぶ葉、人間模様」

【書籍情報】

久保ミツロウ・能町みね子・ヒャダイン
「かわいい中年」(中央公論新社)

 
 

定価:2,090円(10%税込)

ふいに出来る友達、家族の見知らぬ顔……ほろ苦い人生こそ愛おしい、中年期の心をほぐす処方箋。

「雑談がこんなに面白いの、反則だと思います!」岸本佐知子さん悶絶。

フジテレビ系トークバラエティ番組『久保みねヒャダこじらせナイト』の3人による密室トークを書籍化。


【ライブ情報】

『久保みねヒャダこじらせライブ』

開催日:2026年10月18日(日)
会場:フジテレビ湾岸スタジオ​

昼公演:13:00開演【ゲスト】ディーン・フジオカ
夜公演:17:00開演【ゲスト】佐久間宣行、千葉雄大

*チケットはLive Pocket、チケットぴあで発売中。情報は番組公式HPを参照。


【番組情報】

ほぼ隔週で放送中
『久保みねヒャダこじらせナイト』

次回放送:10月24日(土)フジテレビ 深3:30〜4:00

*Tverで前回放送分、FODプレミアムでこれまでのライブ(FOD限定トークあり)と番組アーカイブを配信中。