息子のあてが外れた?

妻は年に4、5回も里帰りをする。息子はその旅費のために働いているようなものだ。正月は妻だけ帰省し、息子は残って働いている。しかも、妻はデパートの福袋を毎年5つも買うそうな。これにはのんきな息子もさすがにあきれかえっていた。

結婚前はふたりして、母の日や誕生日にプレゼントや花束を持ってきてくれていた。最近はメールで「おめでとう」、それだけだ。お金に余裕がないのか、母親なんてどうでもいいのか。

最近息子が、「このマンションって俺の名義になっているんだよね?」と言い出した。いえいえ、私と再婚相手の夫の共有財産である。今もローンを毎月払っている。そう言うと、あてが外れたような顔を見せた。さては、荷物を置きっぱなしにして住所変更をしないのは、ゆくゆくはここが自分のものになると思っていたためか。

本州に住んでいる別れた夫、つまり息子の父親にもふたりして会いに行ったそうだから、その時にマンションのことで何か吹き込まれてきたのかもしれない。前夫と暮らしていたマンションは売り払い、今の夫と買い替えたことを前夫は知らないのだろう。息子は、あのマンションは自分のものだと妻の前で大きな顔をしていたのだろうか……。