これからの私は

以前、ふたりが沖縄に来て一緒に食事した時に、K子が「お母さん、私たち、ゲイの人から精子をいただいて子どもを持とうと話しているんです。どちらがお産をするのがいいと思いますか?」と聞いてきた。なかなかない質問である。とっさに、「あなた、お願いします」と答えたが、その後どうなったか、聞いていない。

娘は私の誕生日や母の日には、決まって1万円、口座に振り込んでくれる。東京でマンションを買って生活していくのは大変だろうに、ふたりで節約しているという。ありがたいことだ。

婚姻届を出せないふたりの場合、別れたり、どちらかが亡くなったりしたら、財産というのはやっかいであろうなと思う。娘は職場ではカミングアウトしていないそうだ。

命をかけて産み育ててきた娘と息子、それぞれに伴侶を得て離れていくことに、寂しい思いは当然ある。もう孫を抱くことはないかもしれない。ふたりともよその家にとられたような気持ちにもなる。

だが、これからは自分の楽しみを探していこう。やっと子どもたちから自由になれたのだから。


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