舌がんで舌の4分の1ぐらいを切り取り…

田山さんがお母さんと、要町から用賀のマンションに移って3年近く経った1995年の10月、田山さんは舌ガンで入院します。

その数ヵ月前から、舌に腫瘍が出来て歯に当たると痛い、ひょっとしたらガンかもしれないと田山さんは言っていたのですが、それが的中し、東大病院(東京大学医学部附属病院)に入院し手術をすることになりました。舌の4分の1ぐらいを切り取り、腿(もも)の肉を切り取って舌につなぐという、大変な手術でした。

田山さんの「パチプロ日記」は読者に人気があり、ファンレターも来るようになっていました。田山さんが入院することになって、励ましの手紙もたくさん来ました。その手紙で、田山さんはずいぶん励まされたと思います。悪徳商人のぼくは、「パチプロ日記」の連載が中断するので、田山さんに「闘病日記」を書いてもらったらどうかと言ったりしていました。今思えば、ずいぶん酷なことを言っていたと思います。

年が明けて、1996年1月18日に田山さんは退院しました。「パチプロ日記」は再開され、その原稿を受け取る日には、田山さんの子どもぐらいの年頃のパチンコ仲間や編集者が居酒屋に集まり、楽しそうに飲んでいました。もちろんぼくもそのなかの1人でした。宴会が終わったら、希望者を募り田山さんと麻雀です。田山さんのガンは完全に治ったものだと、ぼくは思っていました。