投げ出したら、きっと事態は悪化する

私の不満は、胸の中にムクムクと溜まっていく。さいしょの孫育てから、10年。これだけ世話をしていても、娘からお金をもらったことなど一度もない。一番上の孫が、やれ運動靴が小さくなった、やれ服がちんちくりんになったと言えば、すべて私が買ってやっている。

この怒りを娘夫婦にぶちまけたい、と私は夫に息巻いた。だが、夫はこう言ったのだ。「だけど、向こうも『もう限界』とギブアップしたらどうなる? 万一離婚してあの子が子どもを引き取れば、おれたちで孫4人の面倒をみなけりゃいけなくなるよ」。

たしかに、娘の家庭はそれなりの形を保っている。片付かない部屋でも暮らせているし、愛想のない婿殿も、子煩悩で真面目である。他人様から見れば、幸せを絵に描いたかのような家族だろう。私たちのサポートがあるから成り立っているのだが……、もしそれがなくなったらどうなってしまうのか。考えただけでも恐ろしい。

私は心の中の爆弾が破裂しないように、顔を合わせる機会を極力減らし、娘とはLINEのメッセージのみで連絡を取る。子どもの成長とともに、いつかこの苦しみも終わるはずだと信じながら。