最近のノラ・キー坊。何だか悟りを開いたような風貌

世の価値観が真逆にひっくり返った出来事

『父とは誰か、母とは誰か』を読んでいるとどんどん聖書の世界に引き込まれ、無性に千石さんに会いたいと思うようになりました。自分のモヤモヤした悩みが、千石さんの話を聞けば消えるかもしれないと思ったからです。しかし「イエスの方舟」は博多にあります。ちょっと遠いし、行ってもすぐに会ってもらえるかどうかわかりません。

そこで、その頃『写真時代』と同時に編集していた少女向け雑誌『MABO』で(この雑誌が売れないことも悩みの1つでした)、千石さんをインタビューさせてもらうことにしたのでした。1987年の春だったと思います。

インタビューは、中洲の歓楽街にある「イエスの方舟」の女性達が運営しているスナック「シオンの娘」の2階の個室で行われました。インタビュアーをお願いしたライター2人と緊張しながら待っていると、「いやいや、お待たせして」と言いながら千石さんが入って来ました。付き添いの女性に聞くと、体調が良くないとのことでしたが、矢継ぎ早にする我々3人の質問にニコニコしながら答えてくれました。

ぼくは「イエスには性欲がなかった」ということが頭にこびり付いていたので、そのことを聞くと、本に書かれていることとは違う角度からそのことを話してくれました。