加藤登紀子さん(左)と渡辺えりさん(右)(撮影=藤澤靖子)
歌をご縁に交流が始まった、加藤登紀子さんと渡辺えりさん。年齢が一回り違う二人は、それぞれ終活に着手しています。両親と夫を看取り、この先を見据えて娘たちと相談している加藤さんと、ひとり暮らしで課題が山積みの渡辺さん。物の整理から終の棲家、理想の最期まで聞いてみると… (構成=村瀬素子 撮影=藤澤靖子)

<前編よりつづく

終の棲家の候補はあるけれど

渡辺 登紀子さんも、私の友人も、引っ越し好きの人は荷物が少ないし、言動も軽やかで前向きだなあ。私はいつまでもクヨクヨして、思いも物も溜め込んでしまうタイプ。

加藤 えりさんは、人にも物にも情が濃いのよ。故郷への愛も強いでしょう。私が生まれたのは旧満洲のハルビンで、いまはもう別の街になっているから、思い入れはあるけど、何も残っていない。帰る場所が強固にあるえりさんと私の違いが、人生のしまい方にも表れている気がするわ。

渡辺 実は、この4月に個人事務所を作りまして。66歳にして再出発です。いまはやりたいことが多すぎちゃって。韓流ドラマの『愛の不時着』にハマり、韓国語も習い始めました。いつかヒョンビンと共演したい!

加藤 韓国語は音を覚えればラクだし、東北弁と似てるというから、きっとすぐマスターできるわよ。

渡辺 あと、山形で演劇塾を開くという計画も。稽古場として古い家を買いました。本当は60歳で始めるつもりが、東京での仕事も続けたいし、資金を貯めなければと思っているうちに6年経ってしまった。来年あたりから本格的に動き出そうと準備中です。