イラスト:花くまゆうさく
年々厳しくなる夏の暑さ。家庭や職場でエアコンが一日中稼働するようになると、快適な温度設定をめぐってひと悶着あるものです。家電購入に訪れるお客様をお迎えし続けている、家電量販店店員、澤口いずみさん(仮名・53歳)が毎年見かける、エアコン購入をめぐる家族のトラブルの数々とはー―

壊れても、すぐには取り付けられない

今日も、私が勤務する家電量販店のエアコン売り場にお客様がやってきました。毎年梅雨が明けると同時に、「久しぶりに電源を入れたら動かなくて……」と慌てて買い替えにくる方が増えるのです。

取り付け工事の業者も大忙し。依頼から3、4週間待ちということもざらにあります。エアコンなしの生活を強いられてしょんぼりするお客様があまりに多いので、購入していただく際に、「毎年暑くなる前には、必ず試運転をしてくださいね」とお伝えするようにしたくらいです。

家電量販店に勤めるようになって18年。主に空調機器のコーナーを担当しています。お客様とお話をしながら商品をご案内するのは楽しく、とてもやりがいを感じる日々です。

私が社会人になったのは、バブルの終わりの頃。今ほど夏の暑さが厳しくなく、お盆を過ぎればそこそこ過ごしやすかったように記憶しています。晩夏にエアコンが壊れても、「来年まで我慢すればいいか」と言う人もいましたが、温暖化が進んだ今は9月に入ってもなかなか暑さが収まらず、エアコンなしではとても乗り切れなくなりました。

「冷房病」の原因として悪者にされることも多いエアコンですが、本来は「快適に過ごしたい」という願いを叶えてくれるもの。私なりに、使い方のコツなどもお伝えしてきました。