日本は治安の良い国と言い切れるのかどうか

泥棒やスリの類の治安の悪さという観点では、クリスマスに向けて外出する人が増える今の時期の欧州もなかなか世知辛い。

ポルトガルのリスボンに暮らしていた頃、クリスマスの買い出しからの帰宅途中、路面電車の中で財布を盗まれ、現金とカードだけ抜かれて道端に投げ捨てられていたことがある。

「犯人が財布を残したのは、中にあなたの息子さんの写真が入っていたからですよ」と連絡をくれた警官に言われ、クリスマスらしい出来事だよね、と息子に話したら「そんなふうだから狙われるんだよ」と呆れられた。

つい最近、ネットのアカウントを乗っ取られ、使った覚えのない万単位の課金に大慌てをしたばかりだが、アポ電強盗など命を狙われるレベルでなければ、こうした小さな犯罪は不注意だった自分のせいでもあるし、仕方がないと憤りを処理してしまいがちだ。しかし、世界平和度指数ランキングのアジア圏で2位を誇る日本における、昨年の特殊詐欺の被害額は285億円、つまり1日あたり約7800万円にのぼる。

詐欺という視点で治安を捉えれば、日本も十分に穏やかではないし、命を脅かされる危険性にしても、突然誰かから斬りつけられたり放火されたりする可能性もなきにしもあらず。今日日の日本を考えると、果たしてここが治安の良い国だと言い切れるのかどうかは、正直、眉唾である。