(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第12回は「宝塚への誘い~美しき誘惑・柴田作品」のお話です

「うたかたの恋」の名台詞

「マリー、来週の月曜日旅に出よう」
「あなたとご一緒ならどこへでも」

「うたかたの恋」の名台詞です。

オーストリアの皇太子ルドルフと、男爵令嬢マリーベッツェラとの許されない恋を描いた
儚くも美しい物語の始まりは、
死を決意した2人のこんな台詞から始まります。

この台詞はあまりにも有名で、美しく切ない。

宝塚ファンなら
「マリー、来週の月曜日旅に出よう」と言われたら
「はい、あなたとご一緒ならどこへでも」
と100%の確率で反射的に答えるでしょう。高い声で。

頭の中は、
軍服姿のルドルフを見つめ、白いドレスで大階段の赤いじゅうたんに立つマリーベッツェラ。

このセリフだけで一気に儚くも美しいうたかたの恋の世界に引き込まれ、
誰もがマリーベッツェラになるのです。

The 宝塚です。