「僕は君の字を憶えている」

いま考えても信じられないくらい、180度、性格が変わったのです。
実は私が大学卒業後、TBSラジオのキャスタードライバーになったのも、小学4年生で土居さんに“出会った”ことがきっかけでした。

くしくも、フリーになっていた土居さんが文化放送のライバル局であるTBSラジオで『おはよう土居まさるです』という朝ワイドを担当していたのが、私がキャスタードライバー1年生のとき。「『セイ!ヤング』のハガキ職人でした」と初めて土居さんに挨拶に行ったとき、私のネームプレートを眺めながら土居さんが言ってくれたのは、「僕は君の字を憶えている」でした。私が“物書き”を目指したのは、この土居さんの一言がきっかけになったように思います。

小学校時代、『セイ!ヤング』で『ぺんてる』さんが行ったプレゼント企画「あなたのサインを作ります」 に応募したら当たったもの。 当時の子どもたちは、 自分のサインを持ちたがっていた記憶があります。 今も使用しています(写真提供◎山田さん)

 

今のラジオよりも、もっと喋り手とリスナーが“近かった”当時の深夜放送で出会えた土居まさるさんのお陰で、いまの私があるのは間違いなく…、その話をずっと言い続けたかったし、お伝えしたかったのに、いまから22年前の1月、土居さんは58歳という若さで亡くなられてしまいました。

先日、脚本家の岡田惠和さんのラジオに呼んでいただいたとき、この話をさせていただき、土居まさるさんのデビュー曲『カレンダー』を全国放送で流していただきました。

あのとき、アイダくんが隣の席に来てくれなかったら…、土居さんの話を私に教えてくれなかったら……、私は口下手で引っ込み思案のままだったのかもしれません。

実はアイダくんも、ずいぶん早くに旅立ってしまいました。アイダくんには特に御礼が言えていないことが悔やまれてなりません。

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