写真提供◎青木さん 以下すべて
青木さやかさんの好評連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」などが話題になりました。今回は「趣味がわからない人として」です。

前回「母が亡くなって3年が経ち、どんどん好きになっている。それは生きやすさに繋がっている」はこちら

思い浮かばないから、考える

「ママの趣味って、なに?」ある日の夕ごはん、ダイニングテーブルで向かい合っていた娘が聞いてきた。
「……」

「ママ?どうしたの?」
「ちょっと待って、趣味ね。いま考えてるから」

「考えるものじゃないでしょ、趣味って」
「そうかな、ちょっと思い浮かばないから、考える」

「ガチで?」
「ガチとか言われると、ガチって何?って考え始めるから、ちょっとガチって言わないでくれます?」

「早く教えて、趣味」
「ちょっと待ってよ。そうだなぁ、料理とかかな」

「料理そんなにやってないじゃん」
「やってるじゃない、やってるよ、これは、聞き捨てならない。雨の日も晴れの日も毎日できるだけ、頑張ってやってますよ」

青木さん家の食卓



「頑張ってやってるのは、趣味じゃなくない?」
「……」