最後に著者からのご挨拶

女性だったり、男性だったり、人間だったり。私たちは偶然この世に生まれてきました。そして奇跡的な出会いで、こうして同じ時間を過ごしています。

これはすごく幸せで、楽しいことです。

ただ、生きているもの、自分にも、周りの人にも、やがて死が訪れます。これは必然です。

ではなぜ私たちは死ななければならないのでしょうか? 

実はそれには誰もが納得する生物学的な理由があります。『生物はなぜ死ぬのか』が、やがて訪れる死への恐れをほんの少しでも和らげ、現在の「生」をより意味のあるものにする手助けになれば、この上のない幸せです。 

※本稿は、『生物はなぜ死ぬのか』(講談社)の一部を再編集したものです。


生物はなぜ死ぬのか』(著:小林武彦/講談社現代新書)

私たちにとって「死」は、絶対的な恐るべきものとして存在している。しかし、生物学の視点から見ると、すべての生き物、つまり私たち人間が死ぬことにも「重要な意味」がある。その意味とはいったい何なのか。遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」の意味を解き明かす!