「ファッションページは任せない」

ちなみにバッグは“2個持ち”。仕事用の大きなバッグに差し色やアクセントとしてパーティーバッグを合わせていらしたのです。以来、私は、彼女から学んだオシャレも真似させていただいています。

過去には、仕事先で男性からこんなショックな言葉を浴びせられたこともありました。
「山田さんにファッションページを任せようとは思わないよ」
「山田さんにファッションのことは質問しませんから大丈夫です」
「山田、もう少し、オシャレしてこい」

20代で離婚を経験し、ガムシャラに働くことを決め、ものすごい握力で仕事にしがみついていた頃の私が、言われた言葉。上二つは薄ら笑いを浮かべながら。最後の一つは、やや遠慮しながら…でした。

一つ目は、ある情報誌のデスクの男性から。当時、「京都、神戸、大阪、三都物語」というコピーが流行り、大特集が企画され、私が担当したのは「大阪」でした。

焼肉タウンの鶴橋や、阪神百貨店の地下食料品街、お好み焼きをはじめ“粉もん”の店を取材し、楽しかったし、勉強にもなったのですが……。「私も神戸のトアロード(神戸の山手と浜手を結ぶ坂道。オシャレなお店が並んでいる)に行きたかったなぁ」と呟いたところ、デスク男性に「ファッションページは任せない」と言われたのです。

二つ目は連載をしていた赤文字系(若い女性向けのファッション)雑誌の編集担当で、かなり年下の男性と雑談をしていたときのこと。流行っていたファッション用語が二人とも思い出せなかったとき言われた言葉です。

三つ目は私の放送作家の師匠から。白地にグリーンで色々な動物のイラストが描かれているTシャツを着ていたときのことです。そういえば同時期、共に“弟子”だった女性は、いつも白系のスーツを着ていました。一方私は、師匠の運転手もしていたのでカジュアルな服装だったのです。