スタイリストをつけるなんて、もったいない

なぜ私が代表してオファーすることになったのか。なぜ冨士さんの連絡先を知っていたのか、よく覚えていないのですが、電話をし、御本人に企画を説明したところ、前記の言葉で叱られました。

でも、冨士さんはその番組に出演してくださることとなり、それが御縁となって、その後も度々お話をさせていただく機会に恵まれました。野際陽子さんや吉行和子さんら、他の番組で私が御世話になっていた大女優の皆さんと、冨士さんが仲良くされていたことも大きな理由です。

「女優に年齢なんてない」と、もう一つ、冨士さんのお言葉で、とても印象に残っていて、その後、真似させていただいていることがあります。それは、「スタイリストをつけるなんて、もったいない。買い物したり、着飾ったり、選んだり、迷ったりするという女性ならではの愉しみをどうして人(=スタイリストさん)に渡してしまうの?」ということです。

冨士さんはバラエティ番組やトーク番組に出演される際の、原色がメインのお召し物やお靴、アクセサリーなどがすべて自前なのです。
その一つ一つが実に華やかで、冨士さんがゲスト席の中央に座ってくださると、画面のトーンが一気に明るくなったものでした。