土足で踏み込まれたような不快感、恐怖感、焦燥感

初対面の人間にため口でなれなれしく話しかけてくる神経ってなんなんだろう。
なんであの人のせいで遠回りをして、時間を余分にかけなければならないのだろう。
いろんな思いがふつふつと沸いて、ぐるぐると回る。

そして、同性の友人にそのことを相談した時のこと。
ひとしきり心配はしてくれたが、最後に言われた。

「でも、女って見られてるってことじゃん。よかったやん」

デジャブだ。

確か、はじめてナンパされたと報告した時も、別の女友達に同じことを言われたっけ。
女として見られている証拠、と。
その言葉はボディブローのように、体にずしりと響いて、しばらく陰鬱な気持ちになった。

絶対に誰にも侵されたくない心の真ん中に、土足で踏み込まれたようなあの不快感やどうしようもない恐怖感、焦燥感。
これを共有できると信じていた同性から、被害を受けたのに「よかったじゃん」なんて言われるとは。

見ず知らずの人にいきなり自分の欲望をぶつけることが。
女であるというだけで性的な対象として見て、それを態度に出すことが。
相手の気持ちを考えずに一方的なコミュニケーションで欲求を満たそうとすることが。

「女として見る」と言うことなのか?
それは、人間として見ていないということではないか。
女として見られているのではなく、人間として見られていないのだ。
相手が尊厳や人格をもった一人の人間だと思えるならば、あのような態度はできないはずだ。

もしもそれが、「女として見られる」ということなら、私は死ぬまで誰からも女として見られたくなんかない。

前回「恋をしないのは不幸?なぜ〈今のまま〉は肯定されないのか。恋愛、結婚、出産願望がない私でも、孤独という概念はある」はこちら