記録が蓄積されるようになった

もちろんそうしたやり方を否定するのではないのです。どう否定したところで私たちは打ち負かすやり方を捨てることはできないでしょう。

けれど、そのやり方のほかに、もう一つ身につけてはどうか、という提案をしたいのです。

中野先生「エレガントに毒を吐く技術が、将来の危機を回避するかもしれない」(撮影:尾関祐治さん/写真提供:日経BP)

やはり、気をつけなくてはならないことは、文字の発明以来、記録が蓄積されるようになったというのが、私たち人類の中に大きな分断と衝突を生みかねない大きな要素としてあるからです。

コンピューターができ、インターネットが構築された今となってはなおさらで、文字によって残される記録の量は膨大になりました。

あのときあそこで何があった、ということが詳細に残る時代になりました。

しかも、それは、学者や特別なアクセス権を持った一部の人だけではなく、ほとんどすべての人がそのデータにアクセスできるのです。