家事の分担、もうやめませんか

これが「自分で自分の家事をする」人、すなわち自分が姫と使用人の一人二役をしなけりゃならない人であればその欲望の恐ろしさも実感できようが、自分のケツを他人に拭かせている輩は底に大穴の空いたバケツである。

「今日のご飯なに~」「えー、今日もナベ? 最近手抜きなんじゃないの~」などとのたまうあなたは何様か。

『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』(著:稲垣えみ子/マガジンハウス)

念のため教えてさしあげれば何様でもないのですよ。ただの凡人です。

なのにそれにも気づかない。このような残念な方々に取り囲まれているがゆえ、そのような方々の一方的使用人と化したお母さんの家事負担とモヤモヤ感はとどまるところを知らないのである。

つまりはですね、「家事の分担」なんぞしている限りは、お母さんのひどすぎる家事負担はどこまで行ったってなくなりはしないのだ。

というわけで、あえて声を大にして言いたい。

家事の分担、もうやめませんかと。

決して非現実的な提案ではないと私は思う。高度に発達した文明社会に暮らす我々は、狩猟時代みたいに一から火をおこして肉を焼いたり、動物の毛皮をなめして衣服を手作りしたり、江戸時代みたいに重たい着物を洗濯したりしてるわけじゃない。

家にはガスコンロもあるし、衣類だって軽くて乾きやすいものばかり。自分の身の回りのことを自分でちゃっちゃとするくらい、全部合わせてもせいぜい40分ってことは私が証明済みである。