映画が繋いでくれた縁
第2の転機となる出会いは阪本順治監督だという。凄絶な復讐劇『トカレフ』(94年)に出演する。
――原宿のエアドームシアターで阪本監督の『どついたるねん』(89年、赤井英和主演)をやるらしいと知り、「行かない?」って僕が三國に電話をかけて、一緒に観ました。そしたらプロデューサーの荒戸源次郎さんと阪本さんが、「あとでお茶でも」って。そこからの繋がりですよ、阪本さんとは。
『トカレフ』は予算の問題で一回撮影が飛んで、一年後に再開した。僕は誘拐殺人犯の役。最初は薬物依存なんかのメンタリティからそういう犯罪者になるという設定だったのを、一年経ってみたら、「ちょっとこれ普通の人間にしましょうよ、病んでるように見えない人がそうなってしまうほうが……」とか阪本さんと話し合って。
僕はこの世界に入って数年で相米さんに出会って、さあこれから役者として難しくなるだろうなという30代で阪本順治さんに出会った。
自分の置かれているちょうど適切な状況の時にいい人に出会えて、幸運だったと思います。