自分が間違っていた

最後にTスポーツセンターに行った。そこでも結果は同じだった。

「お子さんはじっとしていることが難しいのですね。こちらは専門のコーチとスタッフの数が限られています。水泳は命に関わるスポーツですので、お子さんが溺れてしまったら大変なことになります。入会をすることは残念ですが難しいです」

だがその断り方には思いやりがあった。勇太君の安全を配慮した言葉であり、企業の論理で断っているわけではなかった。

そして事情をよく理解してくれて、日曜日の障害児枠のスイミングを勧めてくれた。

母は、健常児と一緒に泳ぐことにこだわった自分が間違っていたと思い直した。それゆえに、遠回りして母子で傷ついた。

そういう制度があるならば、最初から自閉症であることを告げて障害児枠で水泳を習わせればよかった。