写真提供◎AC
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第62回は「事情があっても、みんなの輪に入りたかった」です。

このストーリーが、妙に心に響き、涙した

先日最終回を迎えたドラマ『作りたい女と食べたい女』シーズン2(NHK、ゆざきさかおみ原作)は、ご飯をたくさん作ることが好きな野本(比嘉愛未)と、同じマンションに住む、食べることが大好きな春日(西野恵未)が、ご飯を共にしながら、次第にカップルとなり、さまざまな問題に直面していくストーリー。

シーズン2では、主人公たちと同じマンションに住む南雲世奈(藤吉夏鈴/櫻坂46)が「会食恐怖症」であることが明かされた。南雲は、人前でご飯を食べることができず、人とご飯を食べないといけないと思うだけで、さまざまな症状が出る。

ある日、南雲が人前で食べられないことを知っている野本から、ホームパーティーに誘われる。南雲は、食べることができない自分が参加していいのか悩むが、野本はそれでもぜひ来て欲しいと誘ってくれたため、参加することにする。

野本、春日と、野本の友人である矢子可菜芽(ともさかりえ)が参加したホームパーティーで、南雲はラッシーだけ飲み、会話に参加する(飲み物は人前でも飲むことができる)。南雲は食べない、とだけ事前に聞かされていた矢子は、南雲が料理に手を付けないことに触れない。ひとりだけ食事に手を付けない南雲は自然にその場に溶け込み、他のみんなと一緒に楽しんでいた。

後日、矢子に会い、会食恐怖症であることを打ち明けた南雲は、ホームパーティーを振り返り、「私が食べないのになんでとか聞かないでくれたから、居心地よかった」と伝えるのだった。

このストーリーが、妙に心に響き、涙した。私は会食恐怖症ではない。でも、思い出す出来事があった。