多様なレシピに使えて健康的に痩せられる食材
これまで何度もダイエットに励んだけれどリバウンドの繰り返し、という人は多いでしょう。肥満治療の専門医として、多くの患者さんを診てきた経験から言えるのは、ダイエットは「継続」できることが重要だということ。どんなに優れたダイエット法でも、3日で飽きてしまうような食材だったり、やり方が複雑で生活に取り入れるのが難しかったりすると、効果が出る前にやめてしまうからです。
もう一つ大切なのが、健康との両立。私自身、脳神経外科医だった30年ほど前、激務のストレスを暴飲暴食で晴らす生活を続けた結果、身長163cmで体重88kgまで太ってしまいました。それを1日500キロカロリーという極端な食事制限で一気に減らしたところ、低血糖で足元はふらふら、目の前の物がゆがんでみえるような状態に陥ってしまったのです。
誤ったダイエット法の危険性を身をもって知った私は、自分を実験台に、「どんな食事なら健康に痩せられて、長続きするか」を試行錯誤。その結果たどりついたのが、豆腐を凍結・熟成・乾燥させてつくる日本の伝統食「高野豆腐」でした。
高野豆腐は成分の約半分が植物性のタンパク質。良質なタンパク質は筋肉をつくり、基礎代謝を上げてリバウンドしにくい体づくりに役立ちます。また高野豆腐に含まれる「βコングリシニン」は内臓脂肪を減らす働きがあるといわれ、その結果、余分な脂肪の蓄積を防ぐ「アディポネクチン」が分泌。痩せやすくなるサイクルが生まれます。
そのほかにも、血中の中性脂肪と悪玉コレステロールを抑制する「レジスタントタンパク」が豊富。そのうえ食物繊維による便秘解消、女性には大豆イソフラボンによる更年期障害の症状の軽減も、嬉しい健康効果でしょう。
高野豆腐がダイエット食材として優れているのは、水分で膨らむ食材なので少量で満腹感が得られ、かさ増しに使えば炭水化物などの摂取量を自然に減らせること。しかも糖質は白米の約20分の1ですから、糖質制限にもぴったりです。
また料理を作りながら発見したのは、淡泊な味の高野豆腐は和食以外にも合うこと。洋食、中華、エスニック、デザートまで多様なレシピに使えるため、飽きずに続けることができます。
私は高野豆腐をアレンジして食べ続けることで、61歳の現在も55kgの体重をキープしています。